雑木林の花「キクラゲ」 今の時期、日曜日の山はいつもの静けさが消え、キノコ狩り目的の車がどんどん入る。耳を済ませて小鳥達の声を聞くことも難しい。遠くで鳴く声を聞くことが出来ても、姿が見えるまで近づいてくれない。運よく待っていた小鳥に遇えてもカメラを構えている間に車が通ってチャンスが逃げてしまう。 そんな日は、撮影をあきらめて違う楽しみを見つけことにしよう。これまでの私だったら、車の音にも決して逃げない草花を観察するんだけど、今日は違うよ。今まで何度も秋の山に入って、1度もしたことが無かったキノコ狩りに挑戦だわ。無謀にも、いつもなら小鳥達の遊び場になっている筈の雑木林に入ってみた。やっぱりカメラは持っていく。 予想以上に雑木が混んでいて腐葉土に隠れた木の根に足を取られ滑りそうになる。キノコを探して下ばかり見ていて気付かなかった太い枝にオデコを殴られ帽子を取られる。中腰歩きばかりで腰が痛い。痛い腰を伸ばそうと背筋を伸ばしたら、数メートル先の朽ちた木に見事なキクラゲを見つけた。 なんて綺麗!なんて豪華!雑木林に花が咲いたよう。2008/10/28付 |
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優しい色ね「コシオガマ」 長く降り続いた雨が収まり、やっと秋晴れと言える日が続いた。それも、昼間晴れていても夜中にシトシト降っていることも多い。そんな秋晴れの日は、野山の秋の花が滴を付けてキラキラ輝き一段と優しい。若草色の葉と淡い桃色の花がとっても優しく感じる秋の花、「コシオガマ」も、シトシト雨を受けますます優しく咲いている。 大きな口を、「ア〜ン」と開けた子供の様に見えて楽しくて可愛らしい花、「コシオガマ」。それほど小さな花ではないし、葉だって芽吹いたばかりのような若草色で目立つと思うのに、何故かこの花もなかなか世間に知ってもらえないでいる花の1つだ。 この日、見つけた時が見頃のようで、可愛らしさも、優しさも、最高の輝きを見せてくれている。滅多に野山の植物を手折ることをしない私でも、花の付いた枝の1本が欲しくなった。「ごめんねぇ、1本貰っていくよ」。声を掛けながら枝を指で挟んだとき、あらぁ、指がべっとりくっ付きそう。こんなにベトベトしていたら誰だって持ち帰りたくても指を引っ込めちゃうよねぇ。 |
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お月見「アオバズク」 春から、夜も深くなると聞こえてきていた「ホッホ、ホッホ」と鳴く声。フクロウのようだけど、フクロウよりほんの少し高音で規則正しく鳴く鳥はフクロウの仲間のアオバズクかな?そう思い当たってはいたけど、実際のアオバズクを見たことが無いからなんとしても正体を見たくて、何度か暗闇の中を出かけてみた。だけど毎回、声に向かって歩くうちいつしか鳴くのを止められてなかなか姿を見ることが出来ないでいた。 「十日町おおまつり」が近づいたある夜、鳴き声がとても近く聞こえ慌ててカメラを持って出かけた。そして、思ったとおり、鳴き声の主はアオバズクだと判った。正体が判ったらもう慌てることはない。なんて安心していたら、「おおまつり」の花火に驚いたのか、それから何日も声を聞くことがなかった。 帰ったのかも知れないと寂しく思った矢先、日付けも変わろうとした真夜中、今までで1番近いんじゃないかと思える大きな声で鳴きだした。時は中秋の十五夜。満月の明かりに足元を照らされながら声のする方へ歩いた。鳴き声が止んだと同時に歩くのを止め満月の夜に目を凝らした。 |
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慎ましいぞ「オトコエシ」 十日町おおまつりが終わって猛暑もやっと落ち着くだろうと期待していたって、まだまだ30度を越える暑い日は来る。大雨が降り、ほんの少し涼しさを感じていた体の体温調整が利かず、暑いんだけど冷や汗が流れる変な時を過ごしている。いえいえ、更年期などとは思っていませんから。 雨降りが一段落した後の晴れた日は真夏を思い出させる暑さ。だけど久しぶりに上ったお気に入りの山から見る青空、青空にゆっくり流れる白い雲、ほころび始めたススキの上を赤トンボも飛んで、もうすっかり秋の空になっている。あ〜、山の上は爽やか〜、じゃない!吹く風までも暑かった。 お日様から逃れるべく、木陰へ木陰へと移動していてオトコエシの群生を見つけた。オトコエシはオミナエシの仲間、オミナエシの花は黄色だけどオトコエシは真っ白。オミナエシより強そうだからと名前が付いたらしい。私は、秋に咲く可憐な花の代表の1つだと思っているんだけどなぁ。 |
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暑っちいね「カラスっ子」 体感温度が少なめに見ても40度は超えているんじゃないかと感じた日。ゆらゆら揺れる陽炎の先に見えるフェンスに乗ったカラスの格好がおかしい。怪我でもしているのかと望遠で覗いて見たら今春巣立ったカラスの子があまりの暑さに喘いでいた。体のところどころに抜け切れなかった産毛らしき白い羽も見える。 口は開けっ放し、不恰好に広げた足と羽、風通しを良くして少しでも暑さから逃れようと必死の知恵なのだろう。遠く離れていながらも、その喘ぎ声が聞こえてくるようだ。 羽を広げる知恵はあっても木陰に逃げようという考えが無いのはいかにも子供らしい。いや、考えはあっても親カラスに「ここを動いちゃダメよ」。なんて注意されているのかもしれない。 写真を見て、知人が言う。「最初の夏くらいは白い羽だったら楽なのに」と。確かにそうだ。ノウサギは白と茶とで毎年毛が生え変わる。小鳥だって夏冬で模様が違うものもいる。そうそう、横着物の私さえも気温の変化とともに着るものが違ってるわ。 |
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オカトラノオに「コヒョウモン」 白い花房をしなやかな曲線に枝垂れさせオカトラノオが咲いている。小さな白い花の1つ1つがとても可愛い。そして花に蝶は欠かせない。山に咲くオカトラノオの花には、やっぱり山に飛ぶ蝶がよく似合う。 コヒョウモンは南国では見られない蝶の仲間。斑に見える翅模様は名前どおりに豹のイメージがある。決して美しい模様だとは言いがたいけど不思議を感じる蝶で、橙色に見える翅さえも私にはケバケバしく見え、落ち着きの無い飛び方だって全然優雅じゃない。それなのにいつだって見つけると何故か撮りたくなるから、やっぱり魅力があるんだろうなぁ。 綺麗盛りのオカトラノオの可愛さをぼんやりと見ていたら、その落ち着きの無いコヒョウモンがやってきて花に止った。慌ただしく食事して飛ぶんだろうと思っていたら、あらら、私を無視して夢中で蜜を吸っている。そうそう、やっぱり撮らなきゃね。 7/28付 |
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河川敷の「ネム」 十日町橋西寄りに大きなネムの木がある。何十年も前に鐙坂の女性が植えた木だとの話を聞いたことがあったけど、これほど大きくなって毎年見事な花を咲かせるなんて、その女性は思ってもいなかったことだろう。 今年の花は一段と鮮やかな赤と白のグラデーション、それもこぼれんばかりに咲いている。その上、日を浴びると花びらの一本一本が輝いて見える。この日は通りかかったときの時間がちょうど良かった。西日に輝いている花を見ることが出来た。 うまい具合にバス停の近く、バス時間さえ見ていれば少しの間なら車を止めることが出来る。交通量の多い道路沿いながら通行の邪魔にもならず車を止め観賞することができ、慌てないで写真を撮ることも出来る。通る車のドライバーから視線が来るのを我慢すれば、の良い話。 嬉しいなぁ、山のネムが咲くのももうすぐだ。7/8付 |
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