栄養補給「イチモンジチョウ」

様々な動植物が色んな顔を見せてくれ、ますます私の山入りが増えている。山々も緑が濃くなり目の保養もついでに出来てしまう。ただ、大好きな鳥の姿が葉の中でなかなか見られなくなった。

タニウツギの葉の上でパタパタと優美な姿を披露しているイチモンジチョウが居た。いつもは忙しそうに飛び回っていてジッと止っているところを見ることが難しい蝶なんだけど、タイミングよく葉の上で食事中のようだ。ストロー口を出し、夢中で吸っている。

お陰でなんの苦労も無く、翅の裏の芸術模様に見とれながらシャッターを切る事が出来た。蝶も蛾も他の虫達も、自然界には本当に美しい模様の持ち主が多い。

イチモンジチョウは一体何を吸っているのか?食事の邪魔を切り上げ、家に帰って早々にパソコンに取り込んだ写真を写真を大きくして見てみた。

 ほほぉ、小鳥の落し物だ。なるほど栄養満点だね。
2008/6/28付

とうとう遇えた!「フクロウ」

鳥を撮るようになってから1番探していた鳥、フクロウ。同じ山の同じ林の方向で聞こえてくる声に、山に入るたびに少しづつ近づいて行った。山が深くて沢が多く、結局この日も諦めて下り始めた。それでもと声の聞こえてきた沢伝いへ中腹まで下りた時、大きな鳥の影が行く先の木の上を飛んだのが見えた。


 オオタカ?サシバ?いや、もっと大きい。車を降り地上から見えない木のテッペンを見つめ、影が消えた杉の木下まで歩いた時、大きな鳥は飛んだ。白い?白かった?


 もしかしたらと、また飛ぶことを期待した数分後、ジッと待つ私の背中から鳴き声が聞こえてきた。「ボワ、ボワ」振り向いて見上げても何も見えない。さらに声がした。「ボワ、ボワ」

早いお出まし「キビタキ」

ブナの若緑の中で見るキビタキのオスは美しい。そして、その若緑にキビタキはとても似合うと私は思っている。キビタキは夏鳥、ブナ林が柔らかな若緑に揺れる頃妻有にやって来る。

ところが今年は違った。山には雪がまだ30センチも残っているうちにキビタキの姿が見えた。ブナは芽吹きも始まっていないっていう時期に、やって来た。連日、時期はずれとしか言いようが無い暖かさが続いたからだろうか。

カタクリの群生を撮ろうと山に入った。まだ道路の雪も残っていて車で上がれなくなり、途中からカメラを抱えて歩き出してすぐ、道路脇の杉林の中で何かが動いた気がして足を止め全意識を周囲に向けた。

どのくらいの時間が過ぎたのか、突然目の前の枯れてしまった杉の上にあの鮮やかな黄色が現れた。「え、キビタキ?うっそぉ!どうしてこんなに早く来たの?また寒くなったらどうするの?」声に出さず話しかけながらシャッターを切った。

野生の感ってすごいなぁ、あれからずっと、こんなに暑い日が続くんだもの。2008/6/8付

日を浴びて「キクザキイチゲ」

妻有に春が訪れた。数日前まで麓にさえ行くことが出来なかったお気に入りの山も中腹まで歩けるようになった。ところどころに残る雪の上を歩くのも楽しい。

ほんの少し道から外れてみると、ショウジョウバカマやカタクリ、スミレも咲き出している。い今、雪解けを待って開く春一番の花、キクザキイチゲが群をなして盛んに可憐な姿を競い合っている。白いキクザキイチゲも清楚なイメージでとても好き花だけど、私は青いキクザキイチゲがたまらなく好き。その青色を見ていると小さな花の中へ吸い込まれそうな不思議な気分になる。

休耕田の土手に青いキクザキイチゲの群生を見つけた時は、一瞬息が止り、どこにも逃げない花なのに何故か足も止った。「うわ〜!」感激の声が無意識に出て、その声の大きさに辺りを見回す。

しばらく眺めているうちに、一本の花がぐんぐん大きく見えてきた。春の日を浴びて、葉も花もとても嬉しそうだ。「はいはい、大丈夫だってば。綺麗に撮ってあげるからね」。4/28付

スイスイーと「ホシハジロ」

そろそろ堰堤のカモ達が帰って行く。何度も撮影に挑戦してきたけど、道路は雪の壁で狭くなり私の立つ場所も無い。辛うじて雪の隙間を見つけても、雪の壁は高く池を見ることさえ難儀で撮影なんてとんでもない。

どうにかこうにか、カモ達の姿を見つけて近づこうものなら、スイスイーと遠ざかる。でも、その姿が楽しい。決して慌てるわけじゃなく知らんぷりを決め込んだように、急ぐ気配も見せず波も立てずにいつの間にか遠ざかっている。中には胸の中に頭を突っ込んで眠ったままの姿勢で水面を滑っていくおとぼけカモだって居る。

反対に「ギャギャギャギャ」と悲鳴を上げながら羽音も派手に飛び立つものもいて、驚かされる私の方が悲鳴をあげたい時もある。

あと何日居てくれるのか、姿が見えなくなる前に早く早くと焦る。こうなりゃ少しくらい遠くたって確認できれば良いことにしよう。開き直って木立の間から豆粒くらいに見えるカモを覗いてみる。

おっ、あの赤い頭はホシハジロ。おおっ、メスも一緒だ。 4/8付

地味だけど「イソヒヨドリ・メス」も

前回号で紹介したイソヒヨドリのオスの色鮮やかさとは対照的に、とっても地味なメスも姿を見せてくれた。体の大きさを考えなければその姿は見間違えそうなほどミソサザイに似ている。尾をツンッと反らせる可愛い仕草も、真ん丸い石をはめ込んだように愛らしい目も本当によく似ている。

カメラを向けてもキョトンとしたままでいる。目が合った時の嬉しかったことって言ったら、調子に乗って近づいてしまったじゃない。あれ、怖がらない、だけど近づくと近づいた分だけ遠ざかる。一定の距離を置いて私を見ているってことは、私の方が観察されているのか?

オスを見た場所とは15`も離れている。けど立て続けに見られたって事は、市内で繁殖しているのかもしれないな、なんて希望を持ってしまう。今度はカップルが見られたら良いんだけどな、なんて欲も出てきてメスに向かって心の中でつぶやく。

あのね、もうちょっと南に行くと素敵なオスが居るのよ。
2008/ 3/18付

盆地にだって「イソヒヨドリ」

名前の通り海岸の岩場に棲むイソヒヨドリが、山に囲まれた妻有でも姿を見られるようになった。最初に雌を見たのは4年も前、それも街の真ん中で見た。子育て最中だったのか口には数匹の虫を銜えていた。海から遠いこの地で見られたことに驚き感動してから大好きな鳥になった。

それからは出かけるごとに姿を求めていたのに、つい先日までまったく遇えないでいた。あの時に見ることが出来たのは迷い込んだのを偶然見たのかもしれない、でも諦めないぞ。なんて執念があったわけじゃないから、目の前で飛び立った鳥がイソヒヨドリだと判った時は頭の中が小躍りした。

冬にやってくるカモを見ようと堰堤に出かけた時のこと、川を覗き込もうと淵に近づいたら一羽の鳥が川から飛び立った。ひえぇ、イソヒヨドリだ!無防備に近づいたこと後悔したのも一瞬だけ。なんと嬉しいこと、飛び立って建物の屋根に止ってくれた。お腹が朱色のイソヒヨドリ・オス、繁殖期にはその美しさが増すという。

しかして、幸運は忘れた頃にやってきた。3/8付
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