尾羽の無い「ウグイス」

 ここ3年ほど同じモミの木で一羽のウグイスを見てきた。あの時は確かにウグイスの尾羽はあった。吹雪の中で初めてそのウグイスの姿を見つけた時、元気で居てくれたと、とても嬉しかった。また可愛らしい姿を撮ることが出来ると、喜んだ。降り続く雪が止み、久しぶりの青空が広がった日、ワクワク気分でカメラを持ってモミの木を見上げウグイスが出てくるのを信じて待った。
 
枝の中からスズメ達の賑やかな鳴き声が聞こえ、ざわざわと枝を揺らすのも見える。スズメの一羽がチョコンと葉の間から姿を現したとき、ウグイスも一歩遅れて顔を見せた。居た、居た。モミの芽を啄ばみながらウグイスが枝の先へと跳ねて行くのが見える。枝に見え隠れしながら跳ねるウグイスを撮り始めた。
 
あれ?何か変、いくら寒いといってもあまりにも丸過ぎる。この時は、ちっともジッとしていないウグイスの異変に気付かなかった。家に帰り撮ったウグイスを確認して尾羽が無くなっていることを知った。何があった?誰かと戦った?
 大丈夫!吹雪を耐えた君は強いよ。2/28付

昭和町のヒヨドリ

今回も、昭和町のナナカマドの実に誘われて姿を見せた鳥です。姿を見せたと言っても決して珍しい鳥ではなくて、相手はヒヨドリ、木のあるところなら一年中あちらでも、こちらでも「ピーィ、ピー」と大きな声で鳴きながら飛んでいるのでスズメやカラスの次に馴染みの鳥かもしれません。

一見、薄灰色のあまり綺麗とは言い難い羽色の鳥。でも、お日様の当たり方によってはその薄灰色が綺麗な藤色に見える時があって、その時のヒヨドリは本当に美しい。比較的大きな鳥なので苦労なく見ることが出来るのも私にはとっても有難い。

霙(みぞれ)の降る日、赤く色づいたナナカマドを横目で見ながら昭和町を走行中、前方に飛んできた鳥がナナカマドの枝に止まるのを見つけた。車を止め確認のため枝を見ると真っ赤な実を嬉しそうに啄ばむヒヨドリが居る。

いくら食いしん坊のヒヨドリだって、車から降りたら逃げられる。やむなく窓ガラス越しに撮る。数枚撮ってから窓をそっと開ける。気配を察したヒヨドリ。嘴で挟んでいた実をポロッと落とした。あぁぁ、ごめんねぇ。 2/18付

ナナカマドの実に「トラツグミ」

 昨年暮れまでは2年続きの小雪になるのかと思っていたら、例年通りに雪が降っている。こうなると日頃目に出来ない山の鳥達が住宅地にやってくる。この時期もまた、鳥撮りの私の楽しみでもある。ただ、カメラやレンズのことを考えると雪降りの晴れ間を狙うしかないのが切ない。

以前から昭和町のナナカマド並木に赤い実が生っていて小鳥が啄ばんでいる姿を確認していたか。だから、積雪のため山への移動ができなくなった時、自然に昭和町のナナカマドへと意識も向いていた。

雪降りの合間と仕事の合間、晴れのチャンスがなかなか来ない。このままだと私が行く前に実が全部食べられちゃう。じりじりと気も焦る。もう、待っていられない。焦りが満タンになる前にエッチラオッチラとカメラを抱いて昭和町へ向かう。数日前に確認できていたトラツグミを何とか撮ることが出来たらと、大きな期待を持ってエッチラオッチラ。
わおっ、やっぱり出てきてくれた。や〜ん、なんてキュートな目。2/8付

じ〜っと朝の雪を見る

一日中氷点下から気温が上がらなく、朝から大きな雪がふわふわと降りるこんな日は結晶を見ることができる。ただ、朝に弱い私が結晶に気付く時はすでに遅しで結晶の形も崩れ始めていることが主だ。

でも、肌をさす寒さが幸いしてこの日は9時過ぎになっても何とか形ある結晶を見られた。出掛けだったけど、次に大きな雪が降る日が分らない、降らずに春になるかもしれない。迷わず家に戻りカメラと虫眼鏡を持って庭に出た。

じ〜っと雪だけを見つめ、そして雪の中から見つけた結晶は近づくだけで融け始める。吐く息や体温を感じ、あるいは外気に触れて融ける。そんな結晶も、時間が過ぎると私の体温も下がり吐く息も冷たくなる時を待って解けだす時間が遅くなる。

寒さで歯をガチガチと鳴らしながら、なんとか結晶と言えるものが数枚撮れたころ、手の感覚が無くなってきて、家に入った。うぅ、冷血人間になっちゃった。1/28付

ぶらぶらぶらり「キカラスウリ」

鳥を探して上ばかり向いて歩いていると、時には思いがけない物を見つけることが出来る。葉を落とした木の上に小枝で造った可愛い巣や、木から木に張った山藤のツルに大きな豆がずら〜っと下がっているのを見つけて山の中で一人喜んだりしている。

そんな思いがけない物の中の1つ「キカラスウリ」が目に入って来た時には喜びが声に出てしまうくらい感激した。雑木にお世辞にも奇麗だとは言い難いツルがだらしなく絡まっている。そこに、目にも鮮やかな黄色で鶏の卵2周りもある大きな実が何個もぶら下がっていて初めて見たにも関わらずその実が「キカラスウリ」だと判るほど、その存在が強烈に夕暮れに浮かび上がっている。

一般に「カラスウリ」と聞くと、真っ赤な実を思い出す。黄色のカラスウリ、名前は知っていたけどそれが今、頭の上でぶらぶらぶらりと緩やかに揺れている。

カラスウリの花はとても神秘的、それも夜に咲く。うっ、徹夜しなくちゃ。 2008/1/18付

日本一から「謹賀新年」

昨年中は『妻有の自然』が大変お世話になりました。そして、写真展。師走のご多忙中にも関わらず大勢の方がお越し下さいました。皆様に温かい言葉をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。

平成20年度「妻有の自然」の幕開けは「日本一のキクイタダキ」からの御挨拶です。何が日本一?と、思われることでしょう。山の中でシジュウカラやヤマガラ等と行動を共にしながらもなかなか見つけられない鳥、頭の上に河童のお皿のごとく黄色の模様がお茶目な「日本一、体の小さな鳥」それがキクイタダキ。

積雪で入れなくなっていた山の雪が融け、頂上までは行けなくとも中腹まで入れるようになった。何としても見つけたい、またまた鳥を探しに行ってきた。待つまでもなくまるで私を待っていたかのように、小鳥の群れが賑やかに現れた中に「チ、チ」と聞きなれない声を聞き胸が高鳴った。「撮れたぁ!」

今年もよろしくお願い致します。 2008/1/1付

たっしょもん「エノコログサ」

 高い山々が日増しに白くなっていく様を見ながら、山へ入るのも今年はもう無理かなと寂しく感じている。今日、市街地に2度目の本格的な雪が降った。でも体感温度は厳しい寒さを感じていない。案の定、ぶわんぶわんと舞い落ちる雪は地面に落ちる前に融けだしていて、落ちて積もった雪は(かさ)を増さずシャーベット

 出かける用があり、傘も必要な状況だからカメラは家に、と考えていたらテーブルに乗せてあるカメラが私を見てる。レンズが私の方向を向いているだけなんだけど、「連れてって」と言っている様に見えてしまうところが弱い。傘を差し濡れないようにカメラをお腹に抱え外に出た。

 雪は完全に霙に変わり、霙を積んだ傘がとても重たい。途中、傘の霙を掃おうと路肩に寄った。野菊や蓬が霙を背負って倒れている中に一本だけ「負けるもんか」と頑張っているエノコログサがあった。

な〜るほど。この頑張りを見せたくてカメラが「連れてって」と訴えたんだわ。
12/18付

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