花も大きい「朴(ほうの)木」 私が知っている花の中で一番大きな花を咲かせるのは朴(ほうの)木。春、山々の芽吹きが始まって、少しづつ周囲に緑を感じ出した頃、「待たせたね」と、言わんばかりに葉が出てくる。葉はグングンと大きくなり、数日間見なかっただけで、どの枝の先にも緑鮮やかな堂々の葉を広げる。 葉の大きいことから、「探して見つける」あるいは「偶然見つける」、などという努力も運も要らない。なのに、花の美しい時を見ることはなかなか難しい。とにかく朴の花は傷みやすい。枝の先だけに咲き、風雨にさらされる日々が続くからだと思っている。加えて花びらの1枚1枚がとても大きいから風当たりも強くなる。 花の一番美しい時を撮りたくて毎年挑戦してきたけど、どれも花の神々しさを表現出来ていなかった。そして、ぽわんと日に浮かぶ花が目の前に咲いている。 2007/5/28付 |
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雨に濡れる「ホウチャクソウ」 田んぼに水が張り、田植えの準備も始まる頃に、林の中でひっそりと咲くホウチャクソウ。私が毎年見ているホウチャクソウは、周囲の緑にとけ込むように緑がかった渋みをおびて花を咲かせている。その渋さは意識していないと見逃してしまうほど地味に感じる。 林に流れる湿った空気の中で見ると、花の豪華さも華やかさも無く、地面を向いて咲く姿が返って悲しく見えてきて、一人で見ているのが恐くなるくらいの感覚を覚える。控えめにとか、慎ましやかに、なんて表現とは違う、言葉では表せないかげりを持った花だと思って見ていた。 小雨が降った日、ホウチャクソウが別の顔を見せてくれた。雨の雫がホウチャクソウの花びらの先からも、葉の先からも、ぽつんぽつんと滴っている。途端に、それまでの暗い花だったホウチャクソウが、潤いをたたえ輝きだした。なんて神秘的に自分を表現するのだろう。 今まで誤解していてごめんね。 2007/5/18付 |
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緋色が美しい「ヒレンジャク」 冬鳥であるヒレンジャクを実際に見ることが出来、ましてやカメラを向けて撮る事が出来るなんて考えてもいなかった。 冬鳥を撮るのは、豪雪地では至難のこと。ヒレンジャクが好んで食べるヤドリキの種は、山のテッペンのブナの木に宿っているものしか知らないし、真冬に積雪3bの雪山の中を歩けるほどの体力もない。 久しぶりに植物の芽吹きを撮ろうと、カエデを見ていた。黄金色の葉の中で、ヒヨドリが黄色の可愛い花を美味しそうに食べているのを見ながら構図を考えていた時、4羽の小鳥が鳴き声も無くやってきて花をついばみ始めたのが見えた。 カエデの木が高かったので空を仰ぐ形になり、鳥が逆光で正体が判らない。体の位置を変え、露出を変更して確認できた。「えええ!ヒレンジャク?」信じられない。信じられないけど、頭の上に間違いなくヒレンジャクは居る。気の強いヒヨドリが意地悪するんじゃないかと、ハラハラしながらシャッターを切り続けた。とにかく撮らなくちゃ。ボケでも良いから撮らなくちゃ。 あれ?「芽吹き」は、どうなったん? 2007/5/8付 |
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桜に似合う「メジロ」 桜が咲かないかと、今か今かと楽しみにしていた事がある。 そして今、満開の桜が私の数メートル先に立っている。その中の1本の木に目標を定め、何本かの木を遠巻きに見ながら数時間待っていると、どこからともなく小鳥達が歓声を上げながら飛んできて満開の桜の花の中へ埋もれる。そして嬉しそうに、忙しそうに、花から花へと飛び回る姿を見ることが出来る。 暖かかった2月、蕾が膨らみ始めるとすぐにウソが集まりだした。集団で蕾をついばむ美しいウソは私の目を楽しませてくれた。楽しみながらも、「こんなに蕾を食べるんだもの、文句言われても仕方ないよねぇ」なんて思ったりした。 でも、桜は見事に目の前で咲いている。桜に集まる鳥たちの中で、絶対に撮りたいと狙いをつけた鳥がいた。それはメジロ!昔から桜に似合う鳥はメジロだと勝手に思っている。桜の花びらの中で見るメジロの緑は例え様が無いほど繊細で美しい。 なのに、メジロは淑やかじゃなくて、ゆっくり楽しめないのよぉ。 2007/4/28付 |
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可憐な雑草「」ハコベ」 雪が消えた春の野山で草花が歌いだした。 歌いだしたのは草花だけじゃない。春の訪れを今か今かと待っていた野鳥たち、あるいは芽吹きや花の咲くのを待っていた虫たち。人間だって春の陽気に動き出した。 以前、「私は虫眼鏡で小さなモノを覗くのが好きだ」と、書いた事があるけど覚えて下さっているかしら。その虫眼鏡が本領発揮する時がとうとうやって来ましたよ〜! 日当たりの良い土手で小さなハコベが瑞々しい若草色の葉の中で小さくて、可愛くて、真っ白な花を咲かせ始めた。いつ覗いても清楚な美しさは全く飽きることが無い。如何でしょうか?可憐な美しさが伝わりますか? この可愛らしさを見たくって、今年も春早々に咲き出した小さな花々を覗き込んでいる。飽きること無く地べたに這いずり、しゃがみ込み、虫眼鏡で覗き込んでいると、散歩にと動き出した人間が土手上の道を歩いている。歩きながら怪しい私を見下ろしている。 怪訝な反応をされてしまった。ふっ、当然ね。 2007/4/18付 |
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春が来た「ネコヤナギとミツバチ」 1ヶ月も前に、銀色の輝きを見せて膨らんでいたネコヤナギ。その後、何度も雪が舞い降りてきて見に行くことが出来ないでいた。1つの膨らみが大きくて、花の咲いたところを見てみたいと、ずっと思っていながら雪が融けてくれなくて、遠くから眺めていた。 雨が続いた翌日の晴れの日、今日こそは!と、思い切って雪の中に踏み込んだ。「あらまっ、見た目より雪が消えている」。長靴の丈ギリギリのところで歩けそう。こんな時はカメラの重さなんて全然気にならない、わくわくしながら雪の中を歩く。 「わぁ!」。想像以上に小さな花の黄色が可愛く開いていて、夢中でシャッターを切る。可愛い花に魅せられたのが他にも居た。私のように花が咲くのを待ちに待っていたミツバチだ。日に輝いて浮かび上がるネコヤナギとミツバチ、とても良い絵になった。 この美しさを一人で見ているのは贅沢だとつくづく思う。でも、にやにやしているこんなところを誰かに見られたら、怪しいオバサンに見えるんだろうなぁと、つくづく思う。 2007/4/8付 |
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もうすぐお別れ「オナガガモ」 今、JRの貯水池では沢山のカモ類を見ることが出来る。遠目だと小さな黒い丸にしか見えない。だけどカメラを双眼鏡代わりにして覗いてみると、小さな黒い丸がそれぞれ赤や青、茶色や白の美しい羽を持ったたカモの姿が見えてくる。 池に行く度に一応カメラを向けシャッターも切ってみるが、遠くに浮かぶカモ達は決してモデルにはなってくれず、ますます遠ざかるばかりだった。気配を敏感に感じ取り、三脚を立てる頃にはもう遠くでぷかぷか浮いている。中には胸に頭を入れ、眠ったたまま逃げていく横着者もいて笑わせてくれたりもする。 ところが先日、池の水が放されている時間に行くことが出来た。いつもは水面しか見えないところに中州が現れている。この中洲なら何とか写真になる距離だ。中州の向こう側にオナガガモが居るのが見えた。 「こっちへおいで、こっちだよ」。え!願いが通じたの?別々の場所からオスとメスが歩いてきた。2羽は、まるで待ち合わせをしていたかのように出会い、私の前で寄り添った。 北へ帰る前に相手が見つかって良かったね。 2007/3/18付 |
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