1番乗りはせっかち「タンポポ」

 雪まつりが成功裏に終わった。いよいよ3月、春に向かってまっしぐら!青空が続き順序良く季節は過ぎて行ってくれるものと思い込んでいたらトンデモナイ。

ようやく長靴から少し短めのブーツに履き替わった足元もルンルン軽くなっていたのに記事を書いている今も真冬並みに雪が降っている。早まった、この降りっぷりだと明日は長靴の出番となる。今の時期に降る雪は心配するほど積もりはしないと思っていても屋根の上の新雪が30センチにもなれば春の気配が全く感じられない。どっぷり『春は名のみ』の妻有。

いつもは車に乗って横目で見ながら通り過ぎる歩道を、青空に誘われ日向ぼっこついでに歩いていたとき、歩く先の歩道の植え込みの中に鮮やかな黄色に気付いた。え、花?いつものように人目も気にせずしゃがみ込んでいたら背後から声が掛った。

「ど根性タンポポだね」いえいえ、今頃雪を被って震えている「せっかちタンポポよ」2011/3/8付

ちっちゃな春の知らせ「胞子嚢」

 私だけじゃないと思うけど毎日が本当に寒い。ここんとこ数日暖かかったし雪も降るだけ降ったようだしと勝手に決めつけて、このまま春になるんじゃないかなんて淡い期待をしていたけど気温は上がらず遠慮なく雪は降った。

 寒いままだから市街地から山に向かって少し離れただけで道路の幅は狭く、道端の雪の壁はず〜んと高くなり車を止める場所も観察できる場所も見つからない。さらに、今年は寒さがジンジン堪える体になってしまい、なかなか撮影に出かけようという気が起きてこなくて困った状態で過ごしている。そろそろ投稿記事を…と考えていたら担当者から留守番電話が入っていた。

「あっ、そうだっ!」近間で撮影が出来て、寒さに強いもの。考えたら真っ先に頭の中に苔が浮かんだ。早速、仕事帰りに日当たりの良い石垣を探してみたら苔どころか胞子嚢(ほうしのう)まで見つけた。春を見つけたような感激の後、仕事道具を雪の上に置いたまま石垣にへばり付き小さな胞子嚢を相手に四苦八苦。後ろを通った方々はビックリしたでしょうね。石垣にキスする変な人だもの。2011/2/18付

杉のアーチは雪道入口

 数日前から外玄関の手すりに吊るしておいた柿を狙ってヒヨドリが連日やって来て柔らかくなった実を突いて食べている。日頃、誰よりも大きな声で鳴くヒヨドリだがさすがに気が引けるようでひっそりこっそりと来ている。出掛けようと玄関の戸を開けると叫びながら慌てて逃げて行く姿が可愛い。7個付いていた柿の実はすでに4個に減り食べカスだけが枝や踊り場に残っている。

 年明けから止むことのなかった雪は木の実も埋めてしまったのだろうか。庭木で餌採りが出来るヒヨドリが危険を冒して玄関の囲いの中に入り込むんだからさぞや山の鳥たちは餌探しに苦労していることだろうと、除雪されている筈の尾根道に鳥の様子を見に行ってみた。

 豪雪となった妻有、予想して行ったとはいえ尾根道は予想以上に高い雪の壁が出来ていて鳥どころか実のなる木を探すことも魚沼の雪山を楽しむことも出来なかった。鳥たちは餌を求めて雪の少ないところへ移動したのだろう。尾根道の入り口で雪をかぶった杉のアーチをくぐったせいか見えたのは、雪・雪・雪。2011/2/8付

「オナガ」でご挨拶

嬉しい意味で予想を裏切ってくれた小雪の三ヶ日が過ぎたらアラララ、やっぱり降るじゃない。完璧な寝正月を決め込んで家に籠りっきり、時折外の空気に触れたくなって窓を開けて見る新雪の青白く透き通るような美しさに感激してばかりいたもんだから「それじゃぁ、もっと見せてあげようか」なんて天の神様が余計な計らいをしてくれたみたいに降るわ降るわ。世間が一斉に除雪モードに入った。

遅ればせながら新年の挨拶にと、もっさもっさと降り続ける雪の合間を狙って実家へ向かう。午後だというのに気温が低く凍ったままの歩道を滑らぬよう一歩一歩踏みしめて歩いていた数歩先を鳥が横切った。すかさず鳥が飛んだ方向を追う、そして思う。「あぁ、カメラが無い」。十数メートル離れた大木の綿帽子の中にオナガが止まっている。23年初の鳥撮りは尾が長く黒い帽子と背中の水色が美しいオナガ、悔しいけど小さなカメラでパシャッ。

今年もよろしくお願い致します。 2011/1/18付

「カワラタケ」花模様

雑木林を歩いていると朽木に生えるカワラタケをよく目にする。カワラタケと聞いてその姿が思い浮かぶ人は少ないと思うけど実物は、大概の人が見たことがあるキノコと言っても良いくらい。私のように特別山奥に入らなくても庭木の切り株なんかに生えていることもある。サルノコシカケの仲間なので硬く乾燥したようなキノコ。だから食用にはならないけど薬用として極めて人気の高い。

カワラタケは傘の裾模様がとってもお洒落、それに群生して生えていることが多いから地味な色目の中に豪華さも感じられて見つけると必ずと言っていいほどモデルになってもらう。この日はたまの親孝行、母の付き合いで食用キノコ狩りに山に入り林の中を歩いていて腐葉土の上にまるで花が咲いたような生え方をしているカワラタケを見つけた。いやぁ綺麗、綺麗。

あっ、カメラが無いじゃない。ところがどっこいポケットに携帯電話が入っている。というわけで「妻有の自然」初となる携帯画像です。カワラタケの言葉が届くかな。

「気付いてくれてありがとう」。2010/12/8

「ヒドリガモ」黙々と

 土堰堤はこれからがカモ達の姿を楽しめる場所、その数もポツポツと増えてきて、今年はどんなカモに遇えるか期待している。

 いつもは一匹狼のごとく行動しているダイサギやアオサギが数羽、浅瀬を歩いて小魚を狙っている。長い脚でゆっくり、ゆっくり、普段の素早さはなんなの?と言いたくなるほど慎重だ。でも獲物を見つけた時の瞬間技は見事、あっという間に小魚を口にしている。

ダイサギ達の様子を観察していたら足元に居た可愛らしいカモ達が今まで確認したことがないカモだと気付いた。遠目に、しかもカモにしては小さめの体からお馴染のコガモだと思っていたから視界から外れていた。当然、それまでののんびり観察モードが一気にフルモードに変わり歩き回るカモを望遠で追った。

干潟になったところで何かを啄ばみながら黙々と歩いている。日に照らされた赤茶色の体がとても美しく細かく歩く姿が可愛らしい。真冬は雪の壁で探せそうもない場所だったのが残念だなぁ。2010/11/18付

「キバシリ」木を走る

不安定な天候の合間にポッと青空が覗く。すると何日も家の中でぐうたら過ごし動きが鈍くなっていた体が気分的に軽くなってくる。軽くなったと思ったらやっぱり出かけなきゃね。

まとまった時間が取れない時は、テリトリー開拓の意味も含め初めての山道を走ってみる。深入りして迷わないよう注意を払いながら適当なところで一休み。車を降り目前の杉林を漠然と見ていた時、ん?1本の杉の木に異様な感じを受けた。なんだろう?杉の木を見ても何だったのか分からない。更にジッと見続け、やっと気付いた。

これじゃぁ見つからない訳だ。杉の木肌を這うように動くキバシリが居た。背中の模様は茶色の斑で木肌にソックリ、そのうえ、とても小さい。杉の側面に移動してくれなかったら見つけられないまま帰ったかも知れない。面白いのは、横姿から見えるキバシリのお腹は真っ白で背中とは反対にとても目に付く。

感激!初めてのキバシリ、やっぱり井の中だけじゃダメなのね。2010/11/8付

待ち遠しかった秋「ノビタキ」

 暑い、暑い!が一転、急激に寒い日が続いた。雨が降り続き、初秋の爽やかさなんてまるで感じられない毎日。農家の人は毎日の雨降りで稲刈りも出来ず、頭を垂れた稲穂が倒れるのではないかと気にかかっていたことだろう。目的は違っても雨空が恨めしいのは私も同じ、そんな雨降りの合間に待ちに待った晴天!

夜中中降っていた雨も上がり、青空がのぞいた。それにつれて気温もちょっぴり上昇、15日ぶりに撮影に出かけた。おお、カメラが懐かしい。

まずは黄金色を見ようと稲刈り中だと聞いた知り合いの田んぼへ向かってみる。向かってはみたものの、すんなりと田んぼへと歩く私じゃない。学校帰りの子供達みたいにこっちに花が、あっちに小鳥がと、てんで前に進まず田んぼに到着した時にはもう日が傾き始めていた。いやぁ、眩しいほどに稲穂が西日に輝いている、正に黄金色。感激しながらも意識は道端に立てられた一本の杭に行く。

ほら、やっぱりね。秋を待ってやって来た今秋初見のノビタキがバッタを捕まえて杭に止まった。嬉しそう、顔だって得意げに見えるよ。2010/10/18付

猛暑も平気「ウシガエル」

 「暑いっ!」。

言葉にすればするほど暑さも増していくような気がするけど、言わずにはいられない日々が続いている。山に向かえばと考えて外に出ても、吹く風さえも暑く、お日様が当たった肌のピリピリ痛いこと。時間が空くと迷うことなくお気に入りの山に上がっていた今までが、信じられないほど今年の夏は家で過ごす時が多かった。まるで、暑さに気力と体力を奪われてしまったようだ。

なのに、どんなに暑くても時期的に毎年気にかけている場所には行ってみないと落ち着かない。いつもの池は、元気に育っている水鳥の幼鳥がスイスイ水面を滑っているころだし、雑木林では巣立ちした小鳥が得意げに飛び交う姿が見られるはずなんだけど、この暑さだもの、鳴き声さえも聞こえてこない。

代わりに池の淵で涼しげに泳いでいる「ウシガエル」がいるだけ。「ウシガエル」のオタマジャクシも手足を出して涼しげだ。

うらやまし〜。2010/09/18付

雨に輝く「ヒルガオ」

 連日35度を超える我が家の廊下に掛けた寒暖計。さらに、雨降り続きの蒸し暑さ、家の中に居ても熱中症になるって世間で注意していることが我が身に降りかからんばかりの非常事態に大雨警報が出ていることなんか気にしてなんかいられるもんか、と涼を求めていつもの山に上がった。

 うそぉ!予定では尾根道に立って市街地を眺めながら体中にじっとりと流れる汗を谷間から吹き上げる涼風がさっぱりと鎮めてくれるはず…、だったのに期待に反して尾根道はどこを通っても無風状態。そのうえ、天気予報通りに大粒の雨が降っている。虫予防に長袖の上着を着ている身としては拷問にかけられてしまったと言う他ない、日頃の行いは良いはずなのに、何でよ。そんな中でもやっぱり素敵を求めて目が動く。

帽子のツバの下で雨宿りしようとするアブや羽虫を手のひらで追い払いながら、大粒の雨の滴を乗せ生き生きと輝きを見せるヒルガオと格闘した。

上手く撮れなくてごめん、暑過ぎるのが悪いんだからね。2010/08/18付

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