桜グルメの「ウソ」 3月に入り、待ち遠しかった春の気配を肌で感じる日が多くなった。これでどうだと言わんばかりに降るだけ降った雪もほんの少し嵩が減ってきている。これから目に見えて融けていくだろう様子を見ていくのも楽しみ。 早く土が出ないかな、早く山の芽吹きが見たいな、早く野の花・山の花が咲かないかな。早く、早くと、ワクワクしながらお気に入りの山の麓へ向かってみたけど自然はやっぱり甘くない、待っていたのは雪の壁。そりゃそう、家の周りの積雪だってまだまだ背丈を越えている。 重いお尻を上げて折角出かけてきたんだからと、出かけついでに市内公園の桜の様子を見て回った。雪に邪魔されて近づけないからか、どの桜も蕾を見つけるのが難しいほど小さい。もう少ししたら蕾を見つけて「ウソ」が来る。なんて考えていたらあらら来たじゃない。私には見つけられなかった蕾を次々と食べてるわ。 ウソぉ!いやホント。2010/3/8付 |
|
河原の「ムクドリ」 都会の街路樹に群れで棲みついて糞公害や鳴き声で大迷惑をかけているムクドリ。市内中心部でも小さな集団が移動するのを見る時があるし鳴き声も聞く。ムクドリの名前を知らなくても『ギャーギャー鳥』の呼び名を知っている人は多い。でも、私には決して『ギャーギャー』とは聞こえてこないものだからムクドリはやっぱりムクドリだ。 比較的人家の近くに現れそこいらを突きまくる。それでいて少しでも近づこうものならさーっと飛び立ってしまう。ムクドリの嫌われる原因は、その濁った鳴き声とにもお世辞にも美しいとは言い難い羽の色、たぶんね。 集団で行動するからその思いがけない姿を見ることも出来る。仲睦ましく寄り添って地面を突く姿は本当に微笑ましいし、私の気配に感づき見張り役が首を長く伸ばしキョロキョロする仕草は本当に可愛い。 信濃川河原に流れ着いたゴミ山の上で15羽ほどのムクドリが楽しそうに食事をしていた。ほらね、見張り役が首を伸ばして警戒している。 大丈夫、私は今、お腹減っていないから。2010/2・18付 |
|
何思う「コゲラ」 雪降りも一段落、春めいたかな?と感じるここ数日。でも、いつもの山はまだまだ麓さえ行かれない。じゃぁ、思い切って一度も入った事の無い山に入ってみよう。車が通れればそれで良いし行き止まりなら戻れば良い。そう考えて出かけてみた。晴天とは言えなかったけど、暗い空でもないし、何より寒く無い。 いつもとまるで正反対の方向へ車を走らせた。市街地から離れた分だけ雪の量も多くなり、周囲はやっぱり雪の壁。見渡せる世界がちょっと狭いけど新境地を開拓するのは楽しい。どこまでも続く雪の壁と灰色の空を見ながら山へ山へと上がる途中に排雪のために開かれたところがあった。 車から降り眼下の雪の谷を見たら、枝が折れ枯れんばかりの一本の桐の木が見えた。何となく何か来るような予感がしてカメラを車から取り出しスタンバイ。来た、来た、コゲラが来た。相変わらず忙しくツツツッと突きながら幹を移動する。ご馳走が見つからないのかコゲラが動きを止め天空を見上げた。 おっ、良いわぁ。カメラポーズ決めたね。2010/2/8付 |
|
雪に合う「トビ」 この冬の長期予報では暖冬になると言っていた気がしたけど何?この大雪は! お気に入りの尾根の雪景色を眺めたくて今冬初、やっとの思いで出かけてみたら、尾根道は道幅も狭く車が止められるところを探すだけでも大変で、一番好きな場所に立っても道路端に背丈よりもずっと高く積みあがった雪の壁が出来ていて見えるところと言ったら向こう山のほんのテッペンだけ。 降り止まない雪に落ち着いて出かけることさえ出来なかった分も足したらショックが倍増してしまった。木々の成長だって見たかったのに近い距離にある雑木は雪に埋もれていてこれもダメ。雪は好き、だけど下界の加減を見て降って欲しいなぁ。 ションボリと山を下ることになったけど何の土産も無く帰るのが悔しい気がしてちょっと遠回りの帰り道、小雨まじりの風に吹かれ膨らんで枝に止まっているトビが居た。土産が出来ると喜んでカメラを向けた瞬間にバイバイ。 「つれないあなた、あなたは雨より雪が似合うわよ」。2010/1/28付 |
|
「モミジ」の綿帽子 節季市辺りから急激に寒い日が続き、強風が吹き荒れ、もっさもっさと雪が降り積もった。幸いに外に出る用も無く家の中に篭って時々細く明けた窓から雪の様子を見ていた。先が見えないほどに風に舞い降り続く雪の様子を見つめていると引きずり込まれそうな目眩に似た感覚が起きる。数十分のうちに雪の嵩が増えていく様子は美しく、まるで夢の世界で起っているかのようだ。 数メートル先のモミジも降る雪の中で幻のように立っている。1年を通して私を楽しませてくれているモミジ、今の時期には残った実を食べにヒヨドリが寄り、冬芽を食べにスズメやシジュウカラが寄ってきて、嬉しいことに居ながらにして可愛い声を聞くことが出来るはずだけど流石にこんなに吹雪く日は大きな木の枝の中で丸まっているのか姿を見せない。 ヒヨドリ達の代わりに私が実を楽しませてもらった。綿帽子を被ったモミジの実、美しいとだけ言っていれば良いのなら大雪大歓迎、だけど現実はそうはいかない。気の毒なほど重そうな帽子ね。2010/1/18付 |
|
年賀は「オジロワシ」から 新年明けましておめでとうございます。お正月と言えば一昔前までの決まり文句に『一富士二鷹三茄子』がありました。そこで、二十二年最初のご挨拶は、ほんのちょっと目出度いかなと思える鷹の仲間オジロワシから始めましょう。 冬鳥として主に北海道に渡ってくるオジロワシが市内上空を旋回したのは、雪の無い年明けになるんじゃないかと思ったほどの晴天の日。信濃川のカモ達の様子を見ようと久しぶりに河川敷に出かけ青空を反映し真っ青に流れている川の様子を見ている時、遠く市内上空を旋回する影が視野に入った。大きな期待もせずに青空を悠々と旋回している姿をカメラで追う。鳶?ええ?鳶じゃない! カメラが狙っていることに気付いた相手は旋回を止め、なんと私の立つ河川敷に向い川を越え飛んで来た。必死になってカメラで追い夢中でシャッターを切った。辛うじてニセアカシアの木立に消える寸前の姿が撮れた。「うっそぉ、オジロワシが市内に?驚いたぁ。道理で目が良い訳だ」。 今年もよろしくお願い致します。2010/1/1元旦号 |
|
べっぴん「タヌキ」 雪が降らないものだからまるで儲けものをしたように山入りをしている。この日は隣県に済む姉がお供に居たことで日頃静かな道中なのにラジオの音量を最大にしているごとく終始大声で笑いっぱなしのドライブとなった。賑やか過ぎて撮影する余裕も無く、雨まで降ってきたらもう会話を楽しむことに専念するしかない。 そうは思ってもやっぱりアンテナだけは四方八方に向いているようで路肩から飛び出す小鳥達を目で追う。もちろん、小鳥達が飛び交っていても車を停めない。次がある、雪だってまだ降らないでくれるはず。カシラダカの可愛い姿に後ろ髪を引かれながら砂利道をのろのろ下っていた時数メートル先の藪が揺れた。何か居る、何か居る。 これは確かめないわけにいかない、静かに車を停めカメラを持って車から降りようとしたら姉が言った「どうしたの?」。「どうしてこんなに可愛いのが見えないの?」って私の方が聞きたいほどだ。藪に入ろうとしていたタヌキが立ち止まって振り向いているのに姉には見えないらしい。 確かに藪に溶け込んだ毛色だけど勿体無いなぁ、こんなに毛並みの綺麗なタヌキが見えないなんて。12月8付 |
|
陽だまりの「キタテハ」 あまりにも早い初雪に驚かされた時、気軽な山遊びは今年もそろそろ終わり。なんて少々覚悟していたら嬉しいかな、その後に続く穏やかな日々。道端や雑木林に積もった雪が跡形も無く消え、錦とまでは言えないながら遠慮がちに染まった山々を楽しむことが出来た。 この日は数人のカメラ仲間と紅葉撮影に行ってきた。今年の山は寒さが足りなかったのか何処の山も錦がまばら、例年は深紅に染まる山桜も茶色に見えるほど。更には、ついぞ染まることなく地に落ちた葉が多い。それでもやっぱり季節は終秋、山の尾根道360度見渡せば、あちらこちらにブナの葉が日に輝き眩い姿を見せてくれているのが嬉しい。 すでに落ちてしまった葉の上を歩くのが楽しくて毎度の様にわざとカサカサ音を立て歩く。足先で風に揺れた落ち葉がヒラリまたヒラリと舞う。あれ?落ち葉に化けたキタテハが陽だまりで日向ぼっこしていたんだわ。 そっかぁ、すぐそこまで来ている厳しい冬に立ち向かう為、太陽エネルギーを蓄えているのね。11/18付 |
|
豪邸を守る「コガタスズメバチ」 時間に都合が出来たら相変わらず山入りの私。林の中をウロウロと耳を澄ませ目を皿のように木々の間を見渡す。曲がりくねった雑木の枝に足を引っ掛けながら、うんとこしょ。そんな難儀な思いで歩いている私の頭の上をさもさも軽々と追い越していく小さな物体の気配。 「ん、今のは何?」正体を確かめるべく立ち止まり遠ざかった先を見つめる頭の上をまた何かが通り過ぎていく、なんか色が蜂みたいだわ・・・。なんのなんの、たとえ蜂だってこっちが何も悪戯しなければ怒ったりしない。気を取り直して前に向かって歩き出す。今度は前から向かって飛んでくる蜂が見えた。ひえ〜! 良かった。蜂は私に向かって飛んできたわけじゃない。さっきと同じ様に頭の上を通り過ぎていった。どうやら私の歩いている場所が蜂の道だったらしい。うろうろ歩いているうちに蜂のルートにお邪魔していたようだ。ひょっとしたら巣があるのかもと蜂の飛んだ方向へ進む。 ほどなく、雑木にぶら下がる豪邸に出入りするスズメバチを見つけた。11/08付 |
|
「リンドウ」のリンは凛 私にとって秋の花の代表はリンドウ。木々の葉に色が付き、風に揺られてカサカサ鳴り始めると山道土手をリンドウの花を探しながらノロノロと進む。枯れかけたススキの群生の淡い色中で咲く濃紫の花を見つけると嬉しくて毎回カメラを向けてしまう。 見つけるリンドウの中には1本の茎に十数個の蕾をつけているものもあって感激するけど残念ながらお日様に近い蕾から順々に咲き一斉に咲いてはくれない。それでも咲いてくれれば良い。若干の期待をこめ日を改めて出かけてみると、茎の途中から蕾のまま茶色に変色してしまって咲かないまま枯れている方が多くてションボリさせられることも多い。未熟な蕾が咲けないで終わるは身を守るためかな。 そういえば、リンドウの濃紫が好きで折り紙のような花びらも好きで、花の時期に1度は手折って家の花瓶に挿す。ところが翌日には咲いていた蕾さえ閉じてしまう。今まではお日様が遠くなったからだと思っていたけど、頑なに開こうとせず、なのに数日間そのままで枯れもしない。きっと、それだって身を守るためだったのね。 なるほど、凛としていらっしゃる。2009/10/28付 |
|
立ち寄り「エゾビタキ」 私の入る山はここ数年賑やかが続いている。昨年の冬季新潟国体に向けてのクロスカントリーコースが数年にかかって整備され、今年は棚田の圃場整備で大勢の方々と重機やダンプが毎日頑張っている。その賑やかな状況の中で山の生き物たちがどういう風に行動するのだろうか、影響は?などと少し心配していたし興味もあった。 毎年、同じ場所で羽根を休め実りの秋を数日間楽しむ旅鳥達のまさにその場所が圃場整備の拠点となったこともあり、昨年はいつ行っても2・3羽の姿しか見ることが出来なくて切なかった。 |
|
|
|
トップへ | 過去記事へ |